ご質問の内容 |
Q1 生命保険、退職金、遺族年金は遺産に含まれますか? |
A. 生命保険、退職金、未支給年金は、受給権者の自己固有の権利として民法では遺産に
含まれません。遺産分割の対象とはなりません。 なお、税法では相続税とみなされます。
・生命保険の死亡保険金の受給権者は、記載されている受取人です。なお、契約者・被保険
者・受取人の掛け方によっては、相続税、贈与税、一時所得になります。
・死亡退職金については、会社の就業規則で定められている場合は受給権者(受取人)
固有の財産、定められていない場合は生計を同じくする遺族(配偶者、子、父母、孫、
祖父母、兄弟姉妹の順)です。
・遺族年金は、生計を維持していた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で)
に受給権があります。また、未支給の年金についても生計を同じくする遺族に受給権があり
ます。
※ 受給権者固有財産ですので、相続放棄されても受取ることができます。
Q2 相続放棄と相続分放棄の違いはどのような点が違うのですか? |
A. 相続放棄とは、プラス財産、マイナス財産もすべて放棄し、一切の財産を承継(相続)し
ないことです。相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に伸述を行います。
相続分放棄とは、相続した分を他の相続人に相続分に応じて取得させることです。相続分
放棄は遺産分割協議から除かれます。なお、財産の債務(借金など)の負担は免れること
はできません。
Q3 相続人が未成年者の場合、手続きはどうなりますか? |
A. 親権者(父又は母)が未成年者の特別代理人となります。
しかし、未成年者と親権者がともに相続人の場合は、利益相反行為となるため、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。 手続きは親権者が行います。
未成年者一人に特別代理人がそれぞれ就きます。
親権者がいない未成年者の場合、未成年後見人が特別代理人となります。
Q4 遺言書の内容と違う遺産分割はできますか? |
A. 相続人全員の合意があればできます。
Q5 夫婦共同で遺言書を作ることはできますか? |
A. 二人以上の者が同一の証書で遺言をすることはできません。(民法975条)
夫婦共同で作成されていた場合、無効となります。
夫婦別々で遺言書を作成して下さい。
Q6 遺言には何を書いてもいいのですか? |
A. 書いて戴いても構いませんが、法的拘束力の有無が問題となります。
民法では、次の事項について書くことができます。
1.遺産相続に関する事項(民法第893条、894条、902条、908条、914条、1006条)
○推定相続人の廃除、廃除の取消 ○相続分の指定 ○遺産分割の方法の指定・遺産分割
の禁止 ○共同相続人の担保責任の定め ○遺言執行者の指定 ○特別受益の持戻しの
免除
2.財産処分に関する事項(民法第964条、1034条、信託法3条)
○包括遺贈・特定遺贈 ○遺留分減殺方法の指定 ○一般財団法人設立 ○信託の設定
3.身分上の事項(民法第781条、839条、848条)
○認知 ○未成年後見人の指定 ○未成年後見監督人の指定
4.その他(民法897条)
○祭祀主宰者承継の指定
Q7 どこにどれだけ遺産があるのかを調べるにはどうすればいいですか? |
A.これが全てではありませんが、以下のようなものから把握してみて下さい。
○預貯金通帳(入出金関係) ○登記簿謄本(固定資産税納税通知) ○領収書・請求書
○所得税・法人税申告書 ○郵便物 ○日記・手帳 ○名刺 ○動産(貴金属・宝石・書画骨
董品などの鑑定書)
さらに、生前に親しくしていた方がいたかどうかを調べ、該当者がいればその方に生前の
様子を聞いたりしてみてください。
遺産分割協議成立後、新たに財産が見つかり、やり直しのケースもありますので、呉々も
資料や情報収集などには細心の注意を払うようにして下さい。