会社法に定める会社の種類 |
●会社の種類
株式会社、合名会社、合資会社、合同会社(LLC)の4種類があります。
【 4つの会社の比較 】
株式会社 | 合同会社(LLC) | 合名会社 | 合資会社 | |
最低資本金 | 1円以上 | 1円以上 | なし | なし 有限責任社員1円以上 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 無限責任 | 無限責任と有限責任 |
最低出資者数 | 1名以上 | 1名以上 | 1名以上 | 無限・有限社員各1名以上 |
取締役の任期 | 原則2年 株式譲渡制限会社最長10年 | 無期限 | 無期限 | 無期限 |
最高意思決定 | 株主総会 | 社員全員の一致 | 社員全員の一致 | 社員全員の一致 |
機関設計 | 制約あり | 自由に設計可 | 自由に設計可 | 自由に設計可 |
定款認証 | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
定款認証印紙代 | 4万円 | 4万円 | 4万円 | 4万円 |
定款認証手数料 | 5万円 | なし | なし | なし |
登録免許税 | 15万円~ | 6万円~ | 6万円 | 6万円 |
利益分配 | 出資比率 | 自由に設定可 | 自由に設定可 | 自由に設定可 |
新しく会社を設立されるのは、株式会社か合同会社(LLC)のどちらかが一般的です。
合名会社や合資会社をつくられる方は殆どおられません。
【 行政書士に依頼するメリット 】
会社設立と同時に営業の許認可を必要とする場合
定款や議事録などの書類作成は、行政書士の業務
株式会社の設立について |
設立には発起設立と募集設立とがあります。最近は発起設立をされる人が多いです。
株式会社には、株主総会と取締役の設置が必要です。株主1名・取締役1名(株主と取締役
が同じでも構わない)最低必要です。
【 設立のながれ(発起設立の場合) 】
・基本事項の検討・決定
会社の設立予定日を決め、スケジュールを組む。
資本金・役員・発起人・事業年度・事業目的・商号・本店所在地などを決める。
同一商号調査を行う。
会社の各種印鑑(代表者印(実印)、銀行印、角印)を作る。
印鑑証明書(2通)を準備する。
↓
・発起人会の開催
↓
・定款の作成
3通(公証人役場(原本)、登記申請用、会社保存用)
↓
・公証人による定款の認証
↓
・出資金の払込み
↓
・取締役会の開催
↓
・登記申請 / 完了
↓
(許認可取得)
↓
事業開始
●機関設計について
株式会社の機関設計の形には、基本的に大きく分けると ①「大会社で株式の公開会社」、
②「大会社で株式の譲渡制限会社(非公開)」、 ③「中小会社で株式の公開会社」、
④「中小会社で株式の譲渡制限会社」 の4つの類型に応じた機関の設置となり、それら
のみ合わせによる構成となっています。
(中小会社で譲渡制限会社)
必要 | 必要 | 任意 | 任意 | 任意 | |
1 | 株主(1人以上必要) | 取締役(1人以上必要) | |||
2 | 同上 | 同上 | 監査役 | ||
3 | 同上 | 同上 | 会計参与 | ||
4 | 同上 | 同上 | 監査役 | 会計参与 | |
5 | 同上 | 同上 | 取締役会(取締役3人以上必要) | 会計参与 | |
6 | 同上 | 同上 | 取締役会(取締役3人以上必要) | 監査役 |
②監査役を設置する場合は、監査役が1人以上必要です。
③会計参与(税理士・公認会計士)を設置する場合は、会計参与が1人以上必要です。
●定款について
1.絶対的記載事項(必ず記載)
①商号 ②目的 ③会社が発行する株式数(発行できる株式の上限) ④設立時に出資
される財産の価格又はその最低額 ⑤本店の所在地 ⑥発起人の氏名・住所
2.相対的記載事項
①変態設立事項(a発起人が受けるべき特別利益 b現物出資 c財産の引受 d会社が負担
すべき設立費用 e発起人の報酬)
②株主総会・取締役会の招集場所、決議方法 ③取締役の任期の延長・短縮 ④取締役
の選任についての累積投票の排除 ⑤監査役の任期の延長 ⑥株式の譲渡制限
⑦株式の発行に関する規定 ⑧議決権の代理凝視の代理人資格の制限
⑨利益配当の徐訴機関 ⑩無記名株式の発行 など
※変態設立事項とは、現物出資や財産の引受けなど一般的ではない設立手続きをとる場合
には必ず記載する事項です。
3.任意的記載事項
①事業年度(決算期)に関する規定 ②提示株主総会の開催時期 ③株式総会の議長
④取締役・監査役の員数 ⑤取締役会の組織について ⑥公告の方法(定めていない
場合は自動的に官報に掲載するものとみなされます) など
LLC(合同会社)の設立について |
株式会社に比べると設立が簡単で維持の手間と費用が掛かりません。
比較的小規模な会社、ベンチャー起業家向きに適しています。
【 設立のながれ 】
・基本事項の決定
印鑑証明書(1通)
↓
・定款の作成
↓
・出資金の払込み
↓
・登記申請 / 登記完了
↓
(許認可取得)
↓
事業開始
●株式会社への組織変更について
合同会社(LLC)を株式会社に組織変更する場合の手続き
①組織変更計画書を作成して、社員全員の同意を得る。
②組織変更することを公告する。
③株式会社の定款・登記申請書類を作成する。
④組織変更の登記申請と同時に合同会社(LLC)の解散登記申請を行う。
⑤官公庁(税務署、年金事務所など)に届出る。
会社設立後の手続き |
● 税務署への届出
1.法人設立届出書(設立から2ヵ月以内
2.青色申告の承認申請書(設立から3ヵ月経過日と事業年度終了日のいずれか早い日)
3.棚卸資産の評価方法の届出書(最初の確定申告書の提出期限まで)
4.減価償却資産の償却方法の届出書(最初の確定申告書の提出期限まで)
5.給与支払事務所等の開設届出書(設立から1ヵ月以内)
6.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(特例を受けようとする月の前月末
まで)
●都道府県税事務所への届出
1.事業開始等申告書(開業等届出書)(設立から1ヵ月以内)
●年金事務所への届出
設立から5日以内
法人の事業所はすべて社会保険(厚生年金と健康保険)に加入
1.新規適用届 2.新規適用事業所現況届 3.被保険者資格取得届・被扶養者届
●労働基準監督署と公共職業安定所への届出
労災保険と雇用保険の加入は、従業員を雇用するときは適用事業所となります。
従業員が全くいない場合は加入する必要はありません。
・労働基準監督署
事業開始から10日以内
1.労働保険関係成立届 2.適用事業報告
※労働保険概算保険料申告書、時間外労働・休日労働に関する協定届、就業規則届
・公共職業安定所
適用事業所となった翌日から10日以内
1.適用事業所設置届 2.被保険者資格取得届
法人か個人事業か |
会社設立のメリット・デメリットについて
(個人事業と法人の違い)
法人(株式会社) | 個人事業 | |
設立手続き | 法に定める手続き | 不要 |
資本金 | 1円以上 | 不要 |
社会的信用 | 得やすい | 得にくい |
事業の失敗の責任 | 出資額の範囲内(有限責任) | 全て個人負担(無限責任) |
事業内容 | 定款で規定した事業のみ | 制限なし |
税金 | 法人税 | 所得税 |
社会保険への加入 | 加入できる | 従業員のみ |
事業継承 | しやすい | 親子以外は難しい |
法人のメリット: ①法人にすると税金面で有利(経費の認められる範囲が広い。節税対策が取
れる。会社が赤字でも社長の給料は保証される。)
②法人は有限責任である。
③事業の承継では法人のほうが有利(事業継続がしやすい。会社には相続税
がかからない。)
個人経営者(事業主)が会社組織(法人)を考える場合
利益が1,000万円を超えると会社組織にしたほうがいいと一般的には言われています。
・個人事業に係る税金
所得税(超過累進税率)、住民税、事業税
・法人に係る税金
法人税(定率)、法人住民税、法人事業税
経営者に係る税金
会社からの給料に対する個人としての所得税、住民税